隣のおばあちゃん

0歳の頃から私を可愛がってくれた隣の家のおばあちゃんが亡くなった。86歳だった。おばあちゃんは以前から自分の体が悪い事を知っていたのだけれども、手術はせず、家ですごすという道を取った。いよいよ体が動かなくなって、2週間前に入院。喋れなくなったのは亡くなる日の前日だった。その前まではちゃんと受け答えしていて、来た人1人1人に「ありがとう、ありがとう」って言っていたらしい。私がヒーコを連れて行った時もそうだった。最期は、病室におばあちゃんの家族、親戚全員が集まって、その後解散してから間もなく、コトリとも音なく、苦しむ事もなく、眠るように亡くなったそうだ。
誰が言ったのかは知らないけれど、死に様は生き様とはよくできた言葉だなと思う。おばあちゃんは近所の人からも慕われていたし、噂話や悪口なんて一切言わない人だったし、本当に日々穏やかに暮らしているようだった。こんな死に方ができればいいなと不謹慎ながら思った。

人が死ぬということは本当に寂しいことなんだなと今日改めて感じた。
今まで親戚や祖父、祖母、クラスメイト、近い友人、と、死ということに無縁ではなかったけれども、おばあちゃんの横たわる亡骸を見て思った。「おばあちゃんのこの身体には命というものがないのだ。こないだまでひーちゃん、ひーちゃんと抱っこをしてくれていたのに。私にも絵本を読んでくれたのに。中学高校大学成人社会人結婚出産、優しい顔で見守っていてくれた人が。身体はここにあるけれど、もういないのだ。」悲しいというよりも、寂しいという気持ちの方が大きい。

おばあちゃん天国でお元気で。私が小さい頃から可愛がってくれてありがとう。ひーこを沢山抱っこしてくれてありがとう。